足の「人指し」指
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さんまいの おふだ
今日は、春から通う予定の老人保健センターでのおはなし会の顔合わせ
とは言っても、いまの職場を退職した元同僚が、その施設でスタッフとして働いているので、彼女に施設全体を案内してもらった
介護保険を利用しても月に20万円をくだらない利用料の施設は、経済的にはかなり恵まれた人たちということができるかもしれない
脳疾患の後遺症で身体が思うように動かない人もいるけれど、やはり多くは認知症のお年寄りだ
施設への入り口の自動ドアも、入るときは自動的に開くが、施設から外に出るときにはスタッフが一緒でないと出ることができない
各フロアも、いくつかのブロックに分かれていて、それぞれの入り口には障子の張っていない格子戸が、さりげなくお年寄りたちが自由に出入りするのを防いでいる
エレベーターも同様に、ボタンを押しただけでは開かないようになっている
実は、4年前まで勤めていた病院が精神科だったので、本業のかたわら、時間を作っては院内で患者さん相手におはなし会をしていた
そこは精神科だけでなく内科も併設されていたので、内科病棟には認知症の患者さんも多く入院していた
そのうち精神科病棟だけでなく、内科病棟でもおはなし会をするようになっていたから、ある程度はお年寄り相手におはなし会に経験はあるものの、もう4年も前の話だ
精神科の患者さん相手のおはなし会も、そのほとんどが大人だったから、私のように小さな子ども相手のおはなし会ばかりしている人間が行っても、すぐには受け入れてもらえない
カバンから絵本を取り出すと
「それは子どもが見るものでしょ」
という声が必ずかかる
それは、ほとんど意識の混濁しているような閉鎖病棟の患者さんでも同じで、私が手遊びや手袋人形をはじめると、それだけで席を立ってしまう人が多い
それでも毎週毎週通うたびに、患者さんたちが私を覚えてくれるようになり、
「また子どもの本かあ~?」
なんて言いながらも、けっこう楽しみに聴いてくれるようになる
ところが、内科病棟の認知症のお年寄りは、そういった記憶も正常に働かないから、毎週通っても、毎回のように
「それは子どもの読むものでしょ、私は違うから」
と拒否され続けてきた
それでも、おはなしが始まると、けっこう集中して聴いてくれることも多かった
今日は、ただ顔合わせの予定だったけれど、もしかしたらチャンスがあるかもしれないと思い、カバンのなかにはおはなしの道具を忍ばせて行った
各フロアの責任者に挨拶すると、皆さん一様に喜んでくださった
「歌や踊りの慰問は多いんですけど、おはなしは初めてなので、とても楽しみにしています」
そうは言っても、それまでもずっと忙しく働いてきた人たちだから、施設のスタッフ自身も「おはなし会」がどんなことをするのか、本当のところは理解していないようだった
そこで、
「もし、少しでもお時間がいただけるなら、今日もおはなしを準備してきているのですが、、、」
と言うと、すぐに談話室に案内してくれた
ちょうどお茶の時間が終わったころで、談話室ではお茶のあとのゆったりとした時間を、思い思いのことをしてすごしていらっしゃるお年寄りが5人ほどいらした
「こんにちわ」
と、ひとりひとりのお年寄りの顔をのぞきこみながら挨拶をしてから、これからおはなしをすることを告げ、カバンから絵本を取り出すと、さっそく例の洗礼が始まった
「それは、子どもが読む本じゃないっ?」
「そうですね~~
実は、私は昨日赤ちゃんが多く集まる場所でおはなしをしてきたので、その絵本がそのままカバンに入っていたんですよ~~」
もちろん、、、これは真っ赤なウソだ
「皆さんも、このおはなしはご存知ですよね~~
ちょっと、ここで読ませていただいてよろしいですか?
聴いていただけます?」
それでも、どうしても絵本は嫌だという女性がいたので、それをそのままテーブルの上に置いた
「じゃあ、こんなおはなしはどうかしら?」
最初に視覚的なおはなしをするのは、実は、それまでの生活からおはなしの魔法に入るのに最適なのだけれど(俗に言う『つかみ』)、今日はそれが通じないらしい
それならば!と、私は思い切って、最初から素語りをすることにした
(おはなし会の最初に素語りをするのは、実は初めてだ)
☆素語り「そう五郎さんのはなし」
最初から長い話で、最後まで聴いてもらえるか心配だったけれど、語り始めるうちにその不安は消えていった
さきほどまでの、お年寄りたちの落ち着かない様子が消えて、最後まで子ども相手のおはなしじゃ嫌だと言っていた女性も目をつむって聴いていてくださっている
おはなしを語り終えたあと、ふとその女性に目を向けると、優しい顔で微笑んでいた
その後、手遊び、指人形と続き、最後にさいしょにテーブルに出しておいた絵本を読み始めた
もう誰も拒否する人はいなかった
☆絵本『さんまいのおふだ―新潟の昔話』(水沢 謙一 梶山 俊夫 / 福音館書店)
大好きな梶原さんの絵を見ながら読んでいるうちに、私もすっと落ち着いた気持ちになることができた
「今日は大事なお時間をくださってありがとうございました
また、遊びに来ますから、おはなしを聴いてくださいね」
そう言って、ひとりひとりのお年寄りの手を握って挨拶をしてから、談話室を後にした
「いつでも時間のあるときに来てくれていいからね」
仲介役を買って出てくれた元同僚は、そう言ってくれた
実家の父の病状がはっきりしない今は、定期的なおはなし会を約束することができないので、この申し出は何よりも嬉しかった
ほんの少しの時間でも空いたら、ひょいっと顔を出して、いきなりおはなし会を始めることもできそうだ
元同僚には、語る場所を提供してくれたことの感謝を伝えて、施設を後にした
まずは第一回目終了っ!
とは言っても、いまの職場を退職した元同僚が、その施設でスタッフとして働いているので、彼女に施設全体を案内してもらった
介護保険を利用しても月に20万円をくだらない利用料の施設は、経済的にはかなり恵まれた人たちということができるかもしれない
脳疾患の後遺症で身体が思うように動かない人もいるけれど、やはり多くは認知症のお年寄りだ
施設への入り口の自動ドアも、入るときは自動的に開くが、施設から外に出るときにはスタッフが一緒でないと出ることができない
各フロアも、いくつかのブロックに分かれていて、それぞれの入り口には障子の張っていない格子戸が、さりげなくお年寄りたちが自由に出入りするのを防いでいる
エレベーターも同様に、ボタンを押しただけでは開かないようになっている
実は、4年前まで勤めていた病院が精神科だったので、本業のかたわら、時間を作っては院内で患者さん相手におはなし会をしていた
そこは精神科だけでなく内科も併設されていたので、内科病棟には認知症の患者さんも多く入院していた
そのうち精神科病棟だけでなく、内科病棟でもおはなし会をするようになっていたから、ある程度はお年寄り相手におはなし会に経験はあるものの、もう4年も前の話だ
精神科の患者さん相手のおはなし会も、そのほとんどが大人だったから、私のように小さな子ども相手のおはなし会ばかりしている人間が行っても、すぐには受け入れてもらえない
カバンから絵本を取り出すと
「それは子どもが見るものでしょ」
という声が必ずかかる
それは、ほとんど意識の混濁しているような閉鎖病棟の患者さんでも同じで、私が手遊びや手袋人形をはじめると、それだけで席を立ってしまう人が多い
それでも毎週毎週通うたびに、患者さんたちが私を覚えてくれるようになり、
「また子どもの本かあ~?」
なんて言いながらも、けっこう楽しみに聴いてくれるようになる
ところが、内科病棟の認知症のお年寄りは、そういった記憶も正常に働かないから、毎週通っても、毎回のように
「それは子どもの読むものでしょ、私は違うから」
と拒否され続けてきた
それでも、おはなしが始まると、けっこう集中して聴いてくれることも多かった
今日は、ただ顔合わせの予定だったけれど、もしかしたらチャンスがあるかもしれないと思い、カバンのなかにはおはなしの道具を忍ばせて行った
各フロアの責任者に挨拶すると、皆さん一様に喜んでくださった
「歌や踊りの慰問は多いんですけど、おはなしは初めてなので、とても楽しみにしています」
そうは言っても、それまでもずっと忙しく働いてきた人たちだから、施設のスタッフ自身も「おはなし会」がどんなことをするのか、本当のところは理解していないようだった
そこで、
「もし、少しでもお時間がいただけるなら、今日もおはなしを準備してきているのですが、、、」
と言うと、すぐに談話室に案内してくれた
ちょうどお茶の時間が終わったころで、談話室ではお茶のあとのゆったりとした時間を、思い思いのことをしてすごしていらっしゃるお年寄りが5人ほどいらした
「こんにちわ」
と、ひとりひとりのお年寄りの顔をのぞきこみながら挨拶をしてから、これからおはなしをすることを告げ、カバンから絵本を取り出すと、さっそく例の洗礼が始まった
「それは、子どもが読む本じゃないっ?」
「そうですね~~
実は、私は昨日赤ちゃんが多く集まる場所でおはなしをしてきたので、その絵本がそのままカバンに入っていたんですよ~~」
もちろん、、、これは真っ赤なウソだ
「皆さんも、このおはなしはご存知ですよね~~
ちょっと、ここで読ませていただいてよろしいですか?
聴いていただけます?」
それでも、どうしても絵本は嫌だという女性がいたので、それをそのままテーブルの上に置いた
「じゃあ、こんなおはなしはどうかしら?」
最初に視覚的なおはなしをするのは、実は、それまでの生活からおはなしの魔法に入るのに最適なのだけれど(俗に言う『つかみ』)、今日はそれが通じないらしい
それならば!と、私は思い切って、最初から素語りをすることにした
(おはなし会の最初に素語りをするのは、実は初めてだ)
☆素語り「そう五郎さんのはなし」
最初から長い話で、最後まで聴いてもらえるか心配だったけれど、語り始めるうちにその不安は消えていった
さきほどまでの、お年寄りたちの落ち着かない様子が消えて、最後まで子ども相手のおはなしじゃ嫌だと言っていた女性も目をつむって聴いていてくださっている
おはなしを語り終えたあと、ふとその女性に目を向けると、優しい顔で微笑んでいた
その後、手遊び、指人形と続き、最後にさいしょにテーブルに出しておいた絵本を読み始めた
もう誰も拒否する人はいなかった
☆絵本『さんまいのおふだ―新潟の昔話』(水沢 謙一 梶山 俊夫 / 福音館書店)
大好きな梶原さんの絵を見ながら読んでいるうちに、私もすっと落ち着いた気持ちになることができた
「今日は大事なお時間をくださってありがとうございました
また、遊びに来ますから、おはなしを聴いてくださいね」
そう言って、ひとりひとりのお年寄りの手を握って挨拶をしてから、談話室を後にした
「いつでも時間のあるときに来てくれていいからね」
仲介役を買って出てくれた元同僚は、そう言ってくれた
実家の父の病状がはっきりしない今は、定期的なおはなし会を約束することができないので、この申し出は何よりも嬉しかった
ほんの少しの時間でも空いたら、ひょいっと顔を出して、いきなりおはなし会を始めることもできそうだ
元同僚には、語る場所を提供してくれたことの感謝を伝えて、施設を後にした
まずは第一回目終了っ!
by nitonyan
| 2006-02-23 17:46
| Story Telling
「親より出世するよ」
私の母は、私にそう言い続けた
「親より出世するよ」
そう息子に言ったとたんに、はじめて私は、私の母の気持ちが理解できた
「親より出世するよ」
それは、
「親より出世してほしい」
という親の願いと、期待だった、、、
「La Postal 1日1信」
私の母は、私にそう言い続けた
「親より出世するよ」
そう息子に言ったとたんに、はじめて私は、私の母の気持ちが理解できた
「親より出世するよ」
それは、
「親より出世してほしい」
という親の願いと、期待だった、、、
「La Postal 1日1信」
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